テスラって、EVなのに結構高いですよね。
エンジンもない。マフラーもない。燃料タンクもない。それなのにModel Yは普通に400万円以上します。
じゃあ何が高いのか。
まず単純に、大容量のバッテリーを積んでいるから高い。
ただ、テスラを長く見ていると、それだけではないことが分かります。
一方で、必要ないと判断したものは驚くほど削る。物理ボタンもレバーも減らし、ソフトウェアと通信でクルマを進化させていく。
今回は、PHEVやハイブリッドと比べながら、テスラのちょっと変わった「お金の掛け方」について考えてみます。
目次
1.PHEVって「保険に保険」を掛けてない?
2.テスラはバッテリーがあるから高い
3.その代わり、不要なものは狂ったように削る
4.安さだけじゃない。クルマ自体がネットにつながっている
5.テスラは「高級車」から普通に買えるEVへ
1.PHEVって「保険に保険」を掛けてない?
最初に言っておくと、ハイブリッドやPHEVを否定したいわけではありません。
モーターを使うことで燃費は良くなるし、PHEVなら外部から充電して普段はEVとして走り、電池が減ればガソリンでも走れる。
めちゃくちゃ便利です。
でも私はPHEVを見るたびに、
「その安心のために、いったいいくら払ってるんだろう?」
と思います。
エンジンがある。燃料タンクがある。排気系もある。そのうえモーターとバッテリーまで積んでいる。
電気がなくてもガソリンがある。
確かに安心。
ただ、かなり乱暴に言えば、
「ガソリンがなくなったら走れないじゃないか!」
――そりゃそうでしょう(笑)
給油すればいい。それでもダメなら、その時は諦める。
PHEVは「もしも」に備えて、ガソリンと電気という2種類の走る仕組みを一台に持っています。
私には、保険にもうひとつ保険を掛けているように見えるんです。
もちろん、その二重の安心に価値を感じるならPHEVは合理的です。
ただし、両方積むための部品・重量・コストも当然タダではありません。
2.テスラはバッテリーがあるから高い
一方、テスラはEV一本。
エンジンもない。燃料タンクもない。マフラーもない。
それなのに高い。
理由はまずシンプルに、大容量バッテリーを積んでいるからです。
Model Yなら、床下に大きなバッテリーパックを搭載し、それだけで長距離を走らせます。
つまり、
「EVなんだからもっと安いだろ」
ではなく、
「巨大なバッテリー積んでるんだから、そりゃそれなりにするよね」
という話なんだと思います。
問題はここから。
高価なバッテリーを積みながら価格を成立させるため、テスラはその他の部分をものすごく合理化しています。
3.その代わり、不要なものは狂ったように削る
テスラに乗ると分かりやすいです。
普通のクルマならダッシュボードに並んでいる、エアコン、ナビ、シートヒーター、ライトなどのスイッチ。
ほぼ全部タッチスクリーン。
エアコンの風向きまで画面上で指を動かして調整します。
そして新しいModel Yでは、シフトレバーまでなくなりました。
「そこまで消す?(笑)」
と思います。
でも物理スイッチを1個なくせば、スイッチ本体だけではなく、配線・取付工程・在庫・交換部品まで減らせます。
昔のコストカットが、
「この部品をもっと安く買えないか?」
だとすれば、テスラは、
「その部品、そもそも要る?」
から考えているように見える。
巨大な鋳造部品を使って多数の車体部品をまとめる発想も同じです。
安い部品を探すより、部品そのものをなくす。
これ、かなりエグいコストカットだと思います。
4.安さだけじゃない。クルマ自体がネットにつながっている
ここで中国のBYDを見ると、また面白い。
BYDには価格競争力という非常に分かりやすい強みがあります。日本でもDOLPHINは300万円前後からラインナップされており、「EVをもっと手の届く価格へ」という武器は強烈です。
ではテスラは何なのか。
私は、長年積み上げてきた販売実績に加えて、クルマを売った後も進化させ続ける仕組みが大きいと思っています。
そもそもTeslaはクルマ自体がセルラー通信につながっています。
ナビ、交通情報、ストリーミングなどに通信を使い、さらにソフトウェアアップデートもワイヤレスで配信されます。Tesla自身も、すべての車両でコネクティビティを重要な機能として提供しています。
つまりModel Yは、
「買った瞬間に完成して、あとは古くなっていくだけのクルマ」ではない。
ある日アップデートが来て、画面が変わったり、機能が増えたりする。
スマートフォンに近いんですよね。
物理部品を増やすのではなく、ソフトウェアで価値を追加する。
これもテスラの合理化であり、同時に強みだと思います。
5.テスラは「高級車」ではなく、シンプルで進化するクルマ
BYDが「この価格でEVに乗れる」という分かりやすい強さを持つなら、テスラの強みは少し違います。
長年EVを販売してきた実績があり、クルマ自体が通信につながり、購入後もソフトウェアアップデートが続く。
Model Yは、買った瞬間に完成して、そこから古くなっていくだけのクルマではありません。
ある日アップデートが入り、画面が変わる。機能が追加される。操作方法まで変わることがある。
それを何年も繰り返していく。
そして室内を見ると、本当に何もありません。
メーターもない。大量のボタンもない。新しいModel Yではシフトレバーまでない。
でも私は、そこに「安っぽさ」ではなく、むしろ居心地の良さを感じます。
余計なものが視界に入らない。
必要な情報だけが中央の画面にある。
クルマの中なのに、ちょっとリビングに近い感覚なんですよね。
Teslaオーナーのレビューを見ていても、「車内が快適で降りたくない」「他の車に乗るとボタンの多さが気になる」というような感想を時々見かけます。
何もないから、居心地がいい。
これもテスラの面白さだと思います。
ちなみに余談ですが、イーロン・マスクは過去に「Teslaは火星用ローバーを作るのに最適な会社」と話したことがあります。
もちろんTeslaの公式目標が「火星でModel Yを走らせる」わけではありません(笑)
でも、
エンジンがいらない。
酸素を燃焼に使わない。
ソフトウェアで制御する。
通信で更新する。
そんなクルマを作っている会社だからこそ、「火星でもEV」という話が出てくるのも、なんとなくテスラらしい。
テスラは高い。
でも「高級車だから高い」わけじゃない。
大容量のバッテリーを積み、通信とソフトウェアに投資し、その代わり不要な物理部品は徹底的に減らす。
価格だけを下げるのではなく、クルマそのものをシンプルにしていく。
そこが、テスラという会社の面白さなんだと思います。
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